怒りの墓場

超怒ってる

生理的に無理なひと その1

「生理的に無理なひと」というのがいる。

顔が気持ち悪いとか臭いとか、そういう表面的なことではなく(程度にもよるが)、内面的、つまり性格の話だ。

ぼくにも明確に、そして爪先ほども受つけたくないひとがいる。

そういう人とは表面上だけでも取りつくろって積極的に絡まない、というのが大人の処世術というやつであろう。
だが、そんなことをしてもお互いにとって何のメリットもないし、逆に不要なストレスを抱えるリスクをはらんでいるので、ぼくは徹底的に無視することにしている。

ところが最近、ぼくが「生理的に無理なひと」とばったり出くわしてしまって、案の定余計なストレスを抱えてしまった。


数年前、知り合いから「趣味の延長で小規模な飲食店を始めたものの、まったく売上がでない。」と相談されたぼくは、本業の片手間、少し経営を手伝うことになった。

5人も客が入ればパンパンになるほど狭い店なのに、なぜか同じ銘柄の酒の在庫が5、6本もある、というほどずさんな管理体制だったので、まずはきっちりと運営をすることにした。
売上管理や発注の流れをマニュアル化し、スタッフも少しずつ増やして「日替わり店主バー」のような運営体制にし、ぼく自身も接客に入ったり、と大変ではあったがなかなか楽しい日々ではあった。

そんなある日、ぼくが店番をしている時にオーナーが連れてきたのが「彼」である。


元々共通の知り合いは何人かいたので存在は知っていたし、実際に対面すると年下のぼくに対しても恐ろしく丁寧な敬語で話す、腰の低い人間だった。

そのうちオーナーが店番をしている日に頻繁に現れるようになった。
そして「自分も日替わり店主に入れてほしい」と言い出したのである。

強烈に嫌な予感がしたが、実際にスタッフが誰もいない空き日はあったし、オーナーが良いと言ってしまえばそれまでである。

彼はぼくの同僚になった。


とはいっても日替わりなので彼の日に顔を出さなければ会うことはない。
ぼくがいる時に来られれば逃げ場はないが、スタッフであろうがきっちり代金はいただくので、売上が上がるのならば別にいい。

当時、男性スタッフはぼくとオーナー、彼で、他に4人の女性スタッフがいた。

スタッフ間での業務連絡はグループLINEで行い、開店、閉店、必要な発注品目の連絡を義務付けていた。

勝手に発注させると、また無駄な在庫を抱え込んでしまうので、連絡を受けてぼくが発注をかける、というシステムだ。
ぼくが在庫を把握してさえいれば、重複することはない。

しかし、日替わりでの運営なんてトラブルはつきものである。

その中でもぼくはひとつ気になっていたことを注意した。 ある女性スタッフの片付けの仕方についてである。


瓶ビールのケースが2箱あるとする。 もし瓶ビールの注文が入れば、冷蔵庫から出して提供し、その空いたスペースにストックしてある瓶を入れる。

空になった瓶はさっき冷蔵庫にいれたビールが入っていた場所にいれる。
そうやってひとつのケースが空になれば、もうひとつのビールケースを使い始め、酒屋に1ケース注文する。

簡単である。 猿でもできる。

ところが、ある女性スタッフは2箱のビールケースを併用して使っていたのである。
混在する、ストックのビールと空き瓶、が入ったケース×2。

バカなのであろうか。
吐き気がするくらい効率が悪い。

と思ったぼくはグループLINEで少し強めに叱った。
「猿でもできることだけど。バカなの?」と。

その女性スタッフは素直に「すいません。気をつけます。」と謝り、めでたしめでたし、ではなかった。

彼が噛み付いてきたのである。


「女性にそんな言い方をするのはひどい。もっと優しく別の言い方はできないのか。」というようなことだった。

実は、それまでにもやんわりと注意していたのだが、改善されなかった。
優しく言ってできるようになるに越したことはないのだが、できないので強めに言った、それだけだ。

猿にでもできることではあるが、能力的に不可能なのであればジャングルにでも帰っていただくより他はない。
だが、その女性スタッフはスタッフは立派に大学を出てちゃんと就職し、仕事をしながら社会経験を積むため、という志をもってここで働いている、れっきとした人間である。

ぼくにとっては「できるかできないか」が重要なのである。
もっと言うと「できることをやらない」ことに対して叱ったわけで「ちゃんと伝わって、やるようになる」のであれば言い方なんてどうでもいいし、嫌われようがなんだろうが一向に構わない。

結果、ぼくの望みは叶いそうなのに彼は何が不満なのであろう。


その店で働く女性スタッフはみんな、世間ではモテそうな、いわゆる美人・可愛い娘ばかりでおまけに20歳代前半と若かった。

かたや彼はそうではない。
お世辞にもモテるとは言えなさそうだし、40歳も越えている。
おまけにデブだ。(デブだからモテないということではない)

ぼくはひとつの仮定を出した。
「良い格好をしたいんだ。」と。

(ぼくとは違って)優しい人アピールである。
ダシに使われるのは構わないが、なんだろう、この気持ち。
もやもやする。

さらに続く彼の追撃にぼくは愕然とする。
「○○ちゃんは今のままで良いよ。ぼくが店にいる時にキレイにビールケースを整理するようにするから。」

違う違う、そうじゃない。
それでは本質的に何も解決しない。

ぼくは彼女にそういうことを「やる」ようになってほしいのである。
小さなことから気づきを覚え、成長してほしいのだ。

その過程を妨害されようとしている。ぼくは軽い怒りを覚えたと同時にもやもやした気持ちの正体を結論づけた。

40過ぎたおっさんが20そこそこの女子に気に入られようと思って気持ちの悪いアピールしている。
「そういうとこやで、モテへんの。」

ぼくが「生理的に無理」と明確に確信した瞬間である。

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