怒りの墓場

超怒ってる

生理的に無理なひと その2

outraged-cemetery.hatenablog.jp

ぼくはこの人のことが嫌いだ、生理的に受けつけない、と感じてからは徹底的に距離をおくことにした。

同じ店で働いているので完全に縁を切れないのはきついが、極力関わらないようにしよう。
幸いにもあまりにもむき出しな敵意に、彼はぼくに嫌わてていることにもすぐに気づいてくれた。

良かったよかった。 これで距離はぐっと遠くなるだろう。

と思ったが、甘かった。


何を思ったのか彼はぼくに対してライバル心みたいなものを見せ、抵抗しはじめた。

よく考えてみて欲しい。
店にはオーナーがいる。そのオーナーに「経営を手伝って欲しい」と言われたぼくがいる。

経営陣はここまでで、あとは平のスタッフだ。
年齢はぼくのほうが下だが、立場が違う。
40を過ぎたおっさんなのにそんなこともわからないのだろうか。

かくして彼の暴走がはじまった。


ある、開店準備をしようと店に入ってすぐに異変に気がついた。

酒のボトルの並びが変だ。
値段順に並んでいるのである。

「ああ、そういうふうな並べ方もあるんだね!なるほど。見直しました!」
とはならない。

逆に聞きたいが、商品がカテゴリーも種類も無視して値段順に並んでいる店をパッと思いつくのだろうか。
ネットショッピングで「価格が安い順にならべる」とはわけが違うのだ。

そして何より、酒場に言ったことがないとピンと来ないかもしれないが、こういう並べ方はめちゃくちゃダサいしかっこ悪い。
「お店ごっこしてるんですね」としかならず、とんだ笑いものだ。

どうやら「生理的に無理」と感じる理由は、周りがみえておらず自分の立ち位置もわからない、バカさ加減にありそうだ。


その後、バカの伝染を恐れて他のスタッフにも少し厳しく接するようにしたのがいけなかった。

彼は自分のことを「鬼から女性スタッフを守る騎士(ナイト)」だと勘違いするようになった。

人はミスをする。

それは構わない、許容するしそんなことでは怒らない。

なので怒るわけではなく、再発防止のために「しかる、注意する」のであるがナイトはそんなこと関係ないのである。

優しい俺は女性を守る、守りたい、守らせろ。
別に好きにしてくれればいいのだが、店で働く以上、スタッフにはやることはやってもらわないと困る。

それに、とても残念なお知らせなのだが20歳代前半の可愛らしい女子たちは、40過ぎのおっさんがそんなに頑張ってくれていることには1ミリたりとも興味がないようだ。

というか、開店・閉店準備、報告の怠り、在庫の確認し忘れ、釣り銭チェックのし忘れ、などなど……全てが完璧にできている方が珍しい、というほどミスが一番多いのはあなたなのだ。

コンビニ店員ならクビだ。
というかクビにしたい。

この頃になると、同じ空気の中にいることすら嫌になってきた。
限界は近い。


予想はしていたことだが、彼は旧知の知り合いであるオーナーに「自分も経営に参加したい」と裏で手回しをしているという話を耳にした。

当然ぼくは「それどころかクビにすべきだ。」とオーナー主張した。
人は楽な方に流されるもので、彼のズボラさに影響を受けて、女性スタッフもかなり手を抜くようになっていたからだ。

それに伴って、ぼくの裏方業務への負担がかなり重くなっていた。

釣り銭がなくならないように報告を必ずするように、と厳命しているのに店に行くと五千円札が2枚しかなかった、という状況を想像してもらえれば、よくわかると思う。 もちろん実話なので笑えない。

ただ、なによりぼくもそれなりに店にも女性スタッフにも愛着があったし、40歳も過ぎて若い女性スタッフと、仲良くなったかのかは別にして会話ができることに気を良くしたのか急に金髪になり、ただのダサい服装だったのが似合ってないビジュアル系もどきの気持ち悪い服装をするようになった40歳を過ぎた太った気持ち悪いおっさんと同じ店で働くのは、もう耐えられない。

一刻も早くやめさせるべきだ、と主張したがそれは聞き入れられないのはわかっていた。

なぜならオーナーも超がつくほどのバカだったからだ。

「みんなで仲良く楽しくやろうよ」という何かよくわからない言葉を吐いている。
騎士(ナイト)の他に自分をジョン・レノンだと思い込んでいる人間がいたようだ。

ぼくは店をやめた。


さてその後、風のうわさでは念願の独立を果たし、元いた店の近くでバーを始めたらしい。

「あんな気持ち悪いおっさんの店に行く人間なんているんだろうか。」と思ったが、とてもどうでもいいことなので特に気にもしていなかった。

生活圏が被っているので街で見かけることもあったが、話しかければいいだけだし話しかけられても無視すればいいだけなので、幸いにも関わることはない。

一度、美人と歩いているのを見かけた時は、少し浮いて見えるくらい浮かれていた様子だったが、女性は明らかに引いていてすごく帰りたそうだったのが遠目に見てもわかったので、たぶん生理的に無理なままだ。

ところが先日、友人から彼の名前が出てきたので、生理的に受けつけないので興味がないことを述べたのに「客をたくさん持っている人気店の名物オーナーに気に入られ、そのコミュニティの人間を獲得することに成功したらしい」ということを教えてくれた。

おそらく調子に乗っているだろう。
自分を「イケてるメンズ」だと思い込んでいるに違いない。

優しき友人は、ぼくに忠告したかったのだ。
ありがとう。


とはいうものの、街で見かけることなどそうそうないものだし、バーをやっているということは店の中に居ることがほとんどのはずだ。
行かなければいいことだし、彼の行きそうな店にも行かなければいい。

友人が教えてくれた「彼が行きそうな店」の中にはぼくの行ったことのある店もあったが、幸いそこまで交流は深くなかったので安心だ。

どうぞ、ぼくの関係ないところで楽しくやってくれればいい、そう思っていたぼくが甘かった。

1メートル先に彼が座っている、そんな状況を招いてしまったのだ。