怒りの墓場

超怒ってる

BARで「いつもの」と注文することへの個人的見解

BARで酒を頼むときに「いつもの」と常連っぽい感じで注文したことはあるだろうか。 もしくは、その行為に憧れを持っているだろうか。

ぼくはあれが嫌いだ。


理由はいくつかある。

まず常連アピールしているようでうっとうしいし、注文を頼むのに横着している感じがする。 人に物を頼む態度ではないように感じるのだ。

コンビニや飲食店の定員に横柄な態度をとる人を見たときに感じる気持ちに近いかもしれない。


さて、行きつけのBARで飲んでいた。 ちなみにチャラいナンパ野郎に出くわしたBARだ。

バーテンダーと会話していると、「さっき『いつもの』って言われたけど何かわからなかった」という話になった。 そのお客さんは、ぼくは顔を知っている程度で他の店ではよく見かけるが、このBARには1ヶ月に一度来るか来ないかの来店頻度らしい。

その日は女性客が多く、カウンターはぼく以外は女性で埋まっていた。

格好をつけたのだろうか?


余談だが、その客については色々な話が耳に入ってくるが、正直評判は良くない。 歳はたぶん、40後半だと思うのだが、

年上の人にすぐ酒をおごってもらおうとする 後輩を連れてきてもキッチリ割り勘 女性がいると連れがいようが隣に座りたがる 離れた席の女性にも積極的に絡む *女性にはボディタッチも激しい

噂で聞いた話もあるが、実際に目の前で見たこともあるので信憑性は高そうだ。 残念ながら積極的アピールも虚しく、うまくいったところを見た人はいないらしいが。

誰しも「こんな風には絶対なりたくない」と思うだろう。ぼくだってそうだ。


特にその人の話で盛り上がることもなく、すぐに違う話題になった。 何杯か飲んだところですこしホロ酔いになったので、次の店に向かった。

といっても数十メートル先になる近場のBARだ。

終電がなくなってすぐくらいの時間だったので、客はぼくひとり。 バーテンダーとたわいもない話をしていると、例の人が入ってきた。


店内をぐるりと見回すとドカンと座り、こう言い放った。 「いつもの」

ぼくは「どうなるのだろう」とちょっとワクワクしたが、その店のバーテンダーは彼の「いつもの」が何かを知っていたらしく、ジンリッキーだかジンバックだかが出てきた。

そして、コースターの上に酒が置かれるやいなや「これで会計」とお金を差し出し、イッキ飲みに近い勢いで酒を飲み干すとさっそうと店を出ていった。

女か?女の客がいないからか?

やんわりとバーテンダーにそう聞くと、なんとも言えない顔で苦笑していたので多分そうなんだろう。


昔、テレビでやっていたドラマのワンシーンを強烈に覚えている。 どんなドラマだったかは全く覚えていないが、30年くらい前に放送していたと思う。

父親役の板東英二が家族に良いところを見せようと中華料理店に連れていく。 高校生の娘がいたはずだ。

「こんな店知ってるなんてお父さんスゴイね!」なんてテンションがあがっている家族に得意になった父親は、ひと通り料理を味わった後、「いつもの」と注文するのだ。

娘は「そんな注文できるなんてお父さんスゴイ!いつものって何!?デザートか何か!?」とテンションはうなぎのぼり。 父親は「ちゃうねん。油っこい中華を食べた後は烏龍茶で胃をさっぱりさせんのが本場の食べ方やねん」(板東英二なので関西弁)

展開としては当然、店側は「いつもの」がわからない。 厨房は大パニックだ。 挙句には「顔が油っこいからこってりしたものに違いない!」と大盛りのパフェを人数分出してすごく気まずい雰囲気になる、というシーンだ。

その気まずい雰囲気が尋常でないくらい気まずそうだったのでしっかりと胸に刻まれている。 今もこうして書いていて心が痛い。


どれだけ行きつけのBARであっても、「いつもの」という注文の仕方はお薦めしない。

もし「いつもの」に憧れていて一度言ってみたいと思っているなら、素直にバーテンダーにそう言うべきだ。 「『いつもの』って一回言ってみたいから、今度来たとき『いつもの』って言ったらハイボールを出してください」と。

「いつもの」がわからないと言った方も言われた方も気まずいのだ。 「いつもの」という単語に「常連アピールだな。格好つけたいんだな。」と反射的に思う人間は一定数存在するのだ。 特にバーテンダーはその反応をする確率が高い。

なので「いつもの」という注文の仕方はお薦めしない。

「こんな風には絶対なりたくない」という道への第一歩目が「いつもの」なのかもしれない。